大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和62年(わ)1890号 判決 1988年3月24日

本籍及び住居

名古屋市瑞穂区中根町三丁目六六番地

会社役員

近藤繁保

昭和一四年九月二九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官伊藤裕志出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは、五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、名古屋市瑞穂区中根町三丁目六六番地に居住し、同市天白区道明町六九番地等において、「三進化学」の名称で板金塗装業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際しては、売上の一部を除外するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上、

第一  昭和五八年分の実際の所得金額が六、三二四万七、一〇九円であり、これに対する所得金額が三、二六五万七、七〇〇円であるのに、同五九年三月一五日、同市瑞穂区瑞穂町字西藤塚一番地の四所在の昭和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六二八万一、八四七円であり、これに対する所得税額が七五万四、〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額三、一九〇万三、七〇〇円を免れ、

第二  同五九年分の実際の所得金額が八、九二九万九、三八四円であり、これに対する所得金額が四、九〇〇万九、三〇〇円であるのに、同六〇年三月一五日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、三〇一万七、〇三八円であり、これに対する所得税額が二七三万四、一〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額四、六二七万五、二〇〇円を免れ、

第三  同六〇年分の実際の所得金額が八、六九四万八一二円であり、これに対する所得税額が四、七五六万一、〇〇〇円であるのに、同六一年三月一五日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、一九五万九、五八五円であり、これに対する所得税額が二四二万六、〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額四、五一三万五、〇〇〇円を免れ、

もって、いずれも不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官(一二通)に対する各供述調書

一  近藤富子及び野中三千男の検察官に対する各供述調書

一  近藤富子(二通)、野中三千男(三通)、松本清司及び片桐伴吉の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書

一  大蔵事務官作成の査察官計算書一九通

一  大蔵事務官作成の証明書一通

(法令の適用)

一  判示行為 所得税法二三八条

一  刑種の選択 所定刑中懲役刑及び罰金刑選択

一  併合罪加重 刑法四五条前段、四七条、一〇条、四八条二項

一  換刑処分 同法一八条

一  刑執行猶予(懲役刑)

同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 伊藤新一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例